ウエスト・ディーン・ガーデンズ West Dean Gardens
ナイマンズで時間を取ったので予定先を一つスキップして遣ってきたのはウエスト・ディーン、02年以来10年振りの再訪だ。
エントランスからショップを抜けると2590ヘクタール(分かりやすく言うと東京ドーム550個以上 なお分からなくなる? では
Estate Map参照)という広大な敷地を流れるラバント川(River Lavant)
の豊かな流れに出合う(写真下左)。このまま川に沿って歩けば遠方にに見える林の先が"Spring Garden"だが、その前にこのガーデンの2つの目玉を先に見ておこう。
(ただし、ガーデンは90エーカー ドーム8個弱の広さだ。)
このガーデンは1622年に建てられたマナーハウスの周りに造られたガーデンが20世紀に入って回復されたものだ。
右手に100mほど歩くと高い壁が現れる。目玉その1は"Walled Gardens"だ。このエリアは3つに別れており、最初に入ったのが"Walled Fruit Garden"。
まず目を惹いたのがお洒落なガゼボ(写真上左から2枚目)、周囲の壁と異なる素材(フリント石)の壁と茅葺の丸い屋根がメルヘンチックだ。
壁沿いにはリンゴが様々な形に整枝されて並んでいる。ピラミッド型やドーム型、シャンパングラス形などが見られる。
中央部は通路で6つに分割されており、メドウの中に洋ナシやプラムなど色々な種類の果樹が植えられている。
メインの通路2本は両脇がボーダーになっている(写真上下左)。夏に向け色鮮やかなホットボーダーに変身するするのだろう。
その2本が交差するところに年代もののコンテナがある(写真上右)。緑の湿性の苔でなく乾いた白い苔の雰囲気が良い。
その近くに今は水が涸れた灌漑用の井戸が大切に残されている(写真下左から2枚目)。
ここでもナイマンズと同じように剪定枝を使ったオベリスクやフェンスが多用されている(写真上下右から2枚目)。
このエリアの2つ目のコーナーは"Victorian Glasshouses"だ。19世紀末に建てられ、その後放棄されていたものを1990年代に復活させたもので、
全部で16棟あるという。
温室脇のオフィスの前に面白い自転車が止めてある(写真上右)。収穫した果物や野菜を運搬するのであろう大きなバスケットのある自転車だ。
面白いのはそのスタンドがバスケットのところに着いていることだ。これならハンドルが固定されるから駐輪中に倒れることが無いだろう。
(理科系頭なのでこういうものを見ると異常に反応してしまう癖がある。悪しからず。)
見事に並んだ温室の中を覗くと室内いっぱいに枝を広げた果樹を剪定しているガーデナーがいた。何の木か聞いてみると樹齢100年を越すイチジクだという(写真上中2枚)。
温室には他に桃やブドウなどの果物 、キュウリ 、 トマト 、ナス、ピーマン、トウガラシなど同じ野菜でも何種類も並べてある。
ランをはじめ様々な花も並んでいる。いったい何百種の植物があるのか想像も出来ないほどだ。
温室の先は3つ目のコーナー"Walled Kitchen Gardens"となる。作業中のガーデナーが陽気に迎えてくれる(写真下左)。
すべてが心地良いほど見事に整然と並んでいる。パセリだけでも10種類、レタスも気持ち良く植え分けられている。食べ比べてみたいものだ(写真上中2枚)。
フルーツガーデン、キッチンガーデンと区分しているが、どちらも両方をバランスよく取り込んでいる。
これがフランスの”ポタジェ”とは一味違うイギリスの”キッチンガーデン”なのだ。
十字に仕切る通路の一方はリンゴの木のアーチ、もう一方はフルーツガーデンと同様ホット・ボーダーだ(写真下左3枚)。
真っ赤なポピーと真っ黄色のハナビシソウが目に眩しい。
茅葺屋根のガゼボのあるメドウガーデンガーデン(写真下左2枚)を抜けて、もう一つの目玉である"The Pergola"に遣ってきた。 1900年代にデザイン・作製されたもので1987年の暴風で壊れたものを修復したものだ。100mを越すロングパーゴラだ。
パーゴラの東端には"Sunken Garden"があるのだが、今は改修中でロープが張られている。パーゴラの東隅に優雅なパーゴラに相応しいとは思えない モニュメントが3つ置かれている。人間の形ではあるが、首から上が無い。おへその辺りに大きな穴が開いている。 相撲の四股を踏むかのように片足を真上に上げている。どう見てもグロテスクだ。
パーゴラは円形の石柱の上に木の梁を通し、木の桁を組んだ大きなもので、バラ、クレマチス、ハニーサックル、ブドウ、フジなどが絡んでいる。
中央部分はスクエアーに広くなっていて池がある。パーゴラの上のドーム状のアーチが優美だ(写真下右2枚)。
直線のパーゴラに対し、曲線のドームを取り入れることで柔らかな雰囲気のデザインとなるのだ。
パーゴラに沿って南面はボーダーガーデンになっている。今は水色のアヤメが涼しげに満開だ。このアヤメは陽だまりに迎えたい。
パーゴラの西端はフリント石で出来たお洒落なガゼボだ。パーゴラから続く東側と南側に天井がアーチ型の出入り口、
西側と北側はガラス窓になっていてガラスにはメルヘンチックなイラストが擦りガラスで描かれている(写真下左3枚)。
ガゼボの北側にも茅葺屋根のサマーハウスが建っている。筋交いやラティスが自然木で造られていて素朴な雰囲気が良い(写真下右)。
中では2組のカップルがお茶を楽しんでいる。のどかなものだ。
この壮麗なフリント石の邸宅(Flint Mansion)は1804年に建てられたものでフリント石は遠くノーフォーク(Norfolk)から船で運んだという(写真下左)。
1971年からウェスト・ディーン・カレッジ(West Dean College)としてイギリスの伝統的な芸術(Arts) 、工芸(Crafts) 、園芸(Gardening)、
音楽(Music)などを学ぶカレッジだという。恵まれた環境だ。
フリントの壁はバラ、クレマチス、アイビーそしてイワガラミなどのつる性植物に覆われている。壁際の植栽も厚く高い。窓を塞ぎそうなほどだ。
そんな中で木バラの仕立て方が面白い。今まで見たことの無い仕立てだ。これは使えそうだ(写真上右2枚)。
ハウスの西の"Spring Garden"はすでに花が終わってしまったようだ。親切な学生の教えに従いラバント川に沿って出口に戻る。
川の対岸は羊が放牧されており、赤ちゃん羊が沢山見られる。何の警戒心も無く近づいてくる。何とも可愛い。
Address | Nr Chichester, West Sussex PO18 0QZ |
Telephone | 01243 811301 |
Web Site | West Dean Gardens |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。